梅雨が始まると、急な気圧や気温の変化によって、体調を崩す人が少なくない。その症状は、頭痛やめまい、倦怠(けんたい)感などさまざま。このような不調は「気象病」とも呼ばれ、近年、認知が広がりつつある。そんな中、気圧の変化を知ることで体調管理に役立てるアプリが重宝されている。天気予報を見るように、事前に起こりうる体調不良を確認できることから、利用者が増えているという。
* * *
「曇りや雨の日は、眠気や頭がモヤモヤするような頭痛に襲われることがあります。でも、病院に行くほどでもなかったんです。最近になって、それが気圧に左右されているとわかり、少し気持ちが楽になりました」
こう話すのは、片頭痛持ちの30代女性。夫も同じタイミングで頭痛を訴えていた。「気象病」というのがあることを知り、自分たちの不調が気圧の影響を受けているかもしれないと思ったという。
気圧などの変化で不調をきたし、病院を訪れる人は少なくない。
愛知医科大学客員教授の佐藤純医師は、天気による体調の悪化や寒暖差による不調を「天気痛」と命名し、同大学病院で「天気痛・気象病外来」を開設して患者の治療にあたっている。
「体調を崩す3要素である気圧・温度・湿度が、耳の奥にある内耳や自律神経に作用することで、体調不良を引き起こします。特に気圧の影響が大きい。もともと高気圧で晴れている時は、体の活動性を上げる交感神経が優位になりますが、低気圧で曇りや雨の時は、休息モードの副交感神経が優位になります。しかし、現代人は運動不足や生活リズムの乱れにより自律神経の働きが弱くなっていて、天候の変化にうまく対応できなくなってしまうことがあります」
不調を感じる「時点」にも注意したい。上空が低気圧に覆われて天気が悪くなる前、つまり、気圧変動が起きている時の方が人は体にストレスを感じやすいという。症状として表れるのは、頭痛やめまい、倦怠感、関節痛、ぜんそく、うつ病などさまざまで個人差がある。佐藤医師の「天気痛・気象病外来」には片頭痛の患者が多いという。