AERA2022年6月13日号より
AERA2022年6月13日号より

 冒頭の男性は、日常生活で大きな問題が出るほどではないとしつつ、買い物では「妻の目が厳しくなった」という。

「菓子パンやスナックをカゴに入れても、そっと棚に戻される。買い物にかかる総額が増えないように、必須ではないものが買いにくくなりました」

 消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは、売り上げが期待できるものから値上げされる傾向にあると指摘する。

「消費者が手を出しやすいものほど値上がりしています。10円の値上げでも生活防衛的に安く買っていたものだとダメージ感は大きい。夏以降には菓子類、ビールや酎ハイなどの値上げも予定され、影響は嗜好(しこう)品にも及びつつあります。テレワークで在宅時間が延びている中でのエネルギー高騰も打撃でしょう」

 値上げはこれだけにとどまらない。4月のCPIによると、住居の設備修繕・維持費が2.5%、家具や家電などの家庭用耐久財が5.0%、自動車等関係費が3.5%アップ。支出を主要な項目ごとにまとめた「10大費目」で下がったのは「交通・通信」(マイナス0.2%)と「保健医療」(同0.7%)だけだ。(編集部・川口穣)

AERA 2022年6月13日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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