6月にデビュー9周年を迎えるBTSは、バイデン米大統領と会談するなど、名実ともに世界の大スターとなった(photo Getty Images)
6月にデビュー9周年を迎えるBTSは、バイデン米大統領と会談するなど、名実ともに世界の大スターとなった(photo Getty Images)
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 5月末に米ホワイトハウスを訪問、10日にはニューアルバム発売を控えるBTS。だが、韓国国内では困難な事態を抱える。兵役特例を巡る問題だ。AERA 2022年6月13日号の記事から。

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 5月のソウルには、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の姿が戻っていた。夜の飲食店は若者を中心に満員だ。マスクをつけずに歩く人の姿も目立つ。ノレバン(カラオケ)にも人が集まっていた。

 ソウルに住む50代の知人男性と人気グループBTS(防弾少年団)の話題になった。知人はこう言った。

「BTSは世界的に有名だ。でも、韓国では(国民歌手と呼ばれる)チョー・ヨンピルほどじゃあない。チョーの名前を聞けば、誰でも<釜山港へ帰れ>のメロディーが頭に浮かぶ。でも、BTSは知っていても、曲名は知らない。ノレバンでも、曲が難しすぎて、みんな歌わない」

 単なるアジョシ(おっさん)の発言だが、重要な意味がある。BTSの兵役免除問題に大きな影響を及ぼす可能性があるからだ。

 韓国の男性には兵役義務がある。最も期間が短い陸軍と海兵隊でも18カ月間の服務義務がある。現行法は芸術やスポーツで功績があった人に、代替服務を認める兵役特例制度を設けているが、国家代表としての活動歴が条件。BTSのような「大衆文化芸術関係者」は営利目的での活動だとされ、兵役特例の対象に含まれていない。

■入隊期限が年末に迫る

 5月4日、黄熙(ファンヒ)・文化体育観光相(当時)が記者会見で、国益に大きく寄与した大衆文化芸術関係者も兵役特例の対象にすべきだという考えを示し、兵役法の早期改正を求めた。BTSメンバーで最年長のJIN(ジン)は1992年生まれ。入隊時期を満30歳まで遅らせたいわゆる「BTS兵役法」が昨年6月に施行されたが、満30歳になった年の年末までに軍に入隊しなければならず、JINの入隊期限は今年末に迫っている。

 ただ、黄熙氏の記者会見は韓国でそれほど大きな話題にならなかった。韓国のメディア関係者は、6月1日投開票の統一地方選が影響したとの見方を示す。「BTSの兵役特例問題は、男女や世代の対立を生む危険性をはらんでいる。下手に論争を引き起こすとまずいという空気が政界に流れていた」

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