監督の水谷豊さん(左)と主演の檀れいさん(撮影/松永卓也)
監督の水谷豊さん(左)と主演の檀れいさん(撮影/松永卓也)
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水谷豊さんが監督・脚本を務める映画『太陽とボレロ』が6月3日に公開された。経営難から解散の危機にひんした地方都市のアマチュア交響楽団の主宰と団員たちが、それぞれの“有終の美”を飾るべく奔走するエンターテインメント作品だ。音楽の道を諦めて家業を継ぎ、地元で楽団を主宰する主人公・花村理子を演じた檀れいさんは映画初主演。監督と主演俳優の2人に、映画にかけた思いや撮影秘話を聞いた。

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――『太陽とボレロ』には、音楽や芸術に携わる人々への愛と尊敬の念が込められている。2人にとって、「音楽」や「オーケストラ」はどのような存在だったのか。

檀れい 宝塚に在籍していた頃から、オーケストラによる生演奏とともに日々公演を行っていたので、私にとっては「音楽」も「オーケストラ」もとても身近な存在でした。(映画が)アマチュア交響楽団のお話、と伺ったときは、音楽もふんだんに使われるのだろうな、という期待もあり、楽しみな気持ちが大きかったですね。

水谷豊 僕はなぜこのテーマにしたのか、と聞かれるのが実は一番困っていましてね(笑)。ある日突然、「クラシックの世界で物語をつくるのはどうだろう」と思ったことが始まりでした。そこにはおそらく何か面白い人間ドラマがあるのではないか、とまず思ったんですね。ただ、プロのオーケストラをイメージして物語を考えると、なぜか“怖いサスペンス”が思い浮かんでしまって(笑)。そこで、アマチュア交響楽団はどうだろう、と。みんな音楽が好きで集まっていて、実は辞めるのも自由である。なににも縛られることなく、純粋に音楽を楽しんでいる人たちの話にしてはどうだろうか、と考えていきました。

――タイトルにもある「ボレロ」は、モーリス・ラヴェルによるバレエ曲であり、イントロが流れるだけで気持ちが高揚する曲だ。2人にとっても、思い入れの深い曲だという。

 宝塚時代、あるショーの場面で1人から2人、3人と少しずつ人が増えていき、最後は全員で踊るというようなナンバーでは、「さくらさくら」をボレロ風にアレンジしていました。少しずつ音が積み重なり舞台を動かしていく、という演出ではボレロ調の音楽が使われていたことも思い出しました。今回も、ラストシーンを飾るのにふさわしい曲だったと感じています。

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「クライマックスはボレロ」という確信