検察はその時の様子を、

「関口被告は、怒ったAさんに、再度、おなかの子どもをさわると背後にまわり、油断した隙に、プロレス技、チョークスリーパーをかけるように右腕を首にまわして、5分以上、絞め付けた。関口被告自身も『もう力が入らない限界まで絞めた』と認めている」

 と説明。関口被告も、

「途中でAさんがやめてと手でたたくのを無視して絞め続けた」

 と犯行の様子を語った。

 判決で「殺害後の経緯も悪質」と指摘された関口被告の犯行がその後も続いた。

 実はこの日の朝、関口被告は、Aさんを殺害することも考え、あらかじめ死体を遺棄する場所をスマートフォンなどで検索し、物色していた。途中、民家に置いてあるスコップも盗んでいた。

 Aさんを殺害後、遺棄場所まで遺体を車で運ぶと、足をつかんで農道を引きずり、盗んだスコップで穴を掘り、遺体を埋めた。そして、車に残されていたAさんのスマートフォンを別の場所に捨てるなど証拠を隠蔽(いんぺい)した。

 この日の夜、別の女性と食事の約束をしていた関口被告は、Aさんの遺体を遺棄したことで服が泥だらけになったため、キャンセルしたという。

 Aさんの代理人として法廷に立った弁護士は、Aさんの母親の胸中を、

「お母さんはなぜ娘を一人で行かせたのか、後悔の念でいっぱいだ。『元通り、元気な娘を返してほしい』と話している」

 と代弁した。

 関口被告は当初、警察の調べにも「知らない」と言っていた。警察の目の前で、スマートフォンを取り出し、LINEの通話機能を使って、Aさんに電話するなど偽装工作も繰り返した。

 犯行動機については、

「妻や子どもにAさんのことを知られたくなかった。生活のストレスがあった」

 と話すばかりだったという。

 関口被告は裁判官から、陳述の機会を与えられ、

「このたびは私の事件によりAさん、ご家族、Aさんを愛していた人すべての人々を悲しませることをしてしまった。改めて罪の重さを痛感している。これから反省と償いをしていきたい。出所したら地域のボランティア活動をして社会貢献したい」

 と肩を震わせながら語った。だが、Aさんの弁護士は、関口被告から、謝罪の手紙や補償などがまったくなされていないとも明かしており、「ただの自己弁護としか思えない言葉ばかりだった」と話した。

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