イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

「子ども予算も防衛費も財源のあてがないことから、参院選前は『増やす』という意思表示だけにとどめ、批判をかわしたい思惑のようだ」

 そうでしょう? 国会中継を観ていたあたしもそう感じたもの。

 となると、前半部分の「(泉代表の)アピール」だとか、「首相が国民の声を聞いていないと印象づける狙い」って言葉いる?

 現実問題として、この国の4世帯に1世帯のお年寄り、7人に1人の子どもが貧困に陥っている。30年間、賃金は上がらず、その上、物価はじわじわと高くなってゆく。生活が苦しい人は増えた。

 今、政府は、市井の人々の生活のことをちゃんと考えてくれているといえるか。いや、いえる。言葉だけなら。

 泉さんのいってることは、党派を超え、多くの不安な国民の声だと思う。でも、新聞記事では「そういうアピール」「そういう印象づけ」とされるのか。

 たしかに、参院選は近い。だが、これが公平な書き方といえるか? 公平であるならば、力の大きさということも鑑みて、なぜ口だけの政府をもっと突かない?

 政局の前に新聞は、あたしたちの側にいないといけないのではないか?

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

週刊朝日  2022年6月17日号

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