作家の室井佑月氏は、参院選前の新聞報道について言及する。
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5月27日の「東京新聞」の「物価高 教育 安保で応酬…参院選『前哨戦』に」という記事に違和感を持った。
26日の衆議院予算委員会、岸田文雄首相と泉健太立憲民主党代表の対決があった。そのことについて、こう書かれていた。
「泉氏が質疑を通じて力を入れたのは、参院選の党の看板政策として打ち出した『生活安全保障』のアピールだった。首相が重要インフラや物資の確保を図る経済安全保障を推進するのに対し、物価高対策、教育、防衛の『三本柱』に真正面から取り組むという内容。政府の政策は『国家目線』に対して、生活者の視点を重視する『国民目線』だと強調し、『聞く力』を自任する首相が実際には国民の声を聞いていないと印象づけることを狙った」
アピールとかなんとかいっているが、今、実際に生活困窮者がいる。
岸田首相が5月に突然ぶち上げた「資産所得倍増プラン」。個人資産が倍に増えるなら、あたしだって文句なしに嬉しい。しかし、じゃあどうやって、という肝心なところの具体性がない。
今回の岸田さんの答弁もおなじだ。たとえば、首相は子ども関連予算の倍増を口にしているが、それは「いつなのか」という質問に対し、
「倍増の目標に向けて努力する。どれだけのお金がかかるのか、誰が負担するのかを整理して目指していきたい」
という回答だ。
防衛費も同様だ。新聞にはこうも書かれていた。