私は1995年から西武の監督を務めたが、黄金期を支えてきた石毛宏典、工藤公康がFA宣言し、ダイエー(現ソフトバンク)に移籍。投打のリーダーを失っての船出となった。さらに96年オフには清原和博が巨人に移籍。若手を思い切って登用する状況だったから、新庄監督の考えることも少しは理解できる。
私の場合は、打撃に関しては96年に戻ってきてもらった土井正博打撃コーチ、97年に呼んだ須藤豊ヘッドコーチに完全に任せるという分業制を敷くことも勝負の一つだった。若手を使うことで、打線の自由度、作戦の選択肢も広がるという利点もあった。
これから、レベルが上がれば、より細かいことが求められるようになるし、乗り越えるべき壁は増える。しかし、今の日本ハムを見ていると、今年はともかく、新球場となる来年以降はAクラス、優勝争いに顔を出してもおかしくないなと期待を抱かせる。せっかくいい形で方向性が見えてきたのだから、143試合、最後の1プレーまでブレずに貫き通してもらいたい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年6月17日号