措置命令の対象になったスシローの広告
措置命令の対象になったスシローの広告
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回転ずしチェーン最大手「スシロー」で、期間限定キャンペーンの商品が提供できない状態なのにテレビCMなどの宣伝を続けたのは景品表示法違反(おとり広告)に当たるとして、消費者庁が運営会社に再発防止を求める措置命令を出した。宣伝には「売切御免!」などと品切れを想起させる文句もあったが、そうした宣伝手法を含め、消費者庁が行政処分でくぎを刺した形だ。コンプライアンスに詳しい専門家は「企業の宣伝は派手になりがちだが、それに対する消費者の目がより厳しくなっている」と企業側の姿勢と消費者意識の乖離(かいり)を指摘する。

【写真】おとり広告が問題となった「スシロー」運営会社の社長

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 消費者庁と公正取引委員会(公取委)の調査によると、おとり広告と認定されたのは3つの商品。昨年9~10月に期間限定キャンペーンで販売するとしたウニを使った2商品と、11~12月にかけ同じく期間限定キャンペーンで販売するとしたカニを使った商品だ。

 国内約600の全店舗で提供するとして、テレビCMや自社のホームページ(HP)でキャンペーンの宣伝をしていた。だが、ウニの2商品はそれぞれ数日間、9割を超す店舗で販売を停止する措置を取っていた。カニの商品は販売初日から提供しない店舗が複数あり、その後も取り扱いのない店が多数出たという。

 スシロー側は「早期に完売する可能性があり販売を停止した」「販売数が予想を超えた」などと釈明。ただ、商品の提供ができない状況に陥ってからもHPなどでキャンペーンの宣伝を続けていた。

 キャンペーンでは「売切御免」「数量限定」「入荷や売れ行き状況により早期完売となる可能性」などと、品切れを想起させる文句を付記してはいた。

 また、在庫不足となってからはHP上で「好評につき店舗により完売している場合がある」と表示したが、当局は「(当該の)料理が提供されていない店舗や期間を消費者が認識することはできない」と、説明不十分と判断し、処分に踏み切った。

「消費者庁による措置命令は決して軽い処分ではありません。今回の件がスシローの経営にマイナスに働くことは間違いありません。消費者からは、不誠実な会社だという疑いの目を向けられることが考えられ、企業として失われた信頼を回復する必要があるからです」

 そう指摘するのは企業法務やコンプライアンスの問題に詳しい村松由紀子弁護士(弁護士法人クローバー)だ。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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