キャンパス内に、国指定の重要文化財を所有する名門大学がある。なかなか見る機会のない歴史的建造物を訪ねるシリーズ。第4弾は「早稲田大学」です。
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早稲田大学の象徴・大隈記念講堂が竣工したのは、昭和2(1927)年。地上1階から3階までを占める大講堂、地下1階の小講堂に加え、時計塔を備える。塔の高さは125尺(約38m)。これは創立者・大隈重信が唱えていた「人生125歳説」にちなむ。
三つのアーチ状の入り口など基本的にゴシック様式の建築だが、一部ロマネスク様式を取り入れた部分もある。
レンガ造りのように見えるが、鉄骨鉄筋コンクリート。外壁に信楽で製作されたスクラッチタイル(62×230mm)を約19万枚も貼り付けている。2007年に大がかりな改修工事が行われた際は、タイルを当時のものにいかに近づけるか苦心したという。
講堂内部も建築学的に貴重なものだ。1階席と2・3階席との間に柱がない構造は、当時としては画期的。218tの客席を一本の支柱も使わずに梁で支えている。舞台は演劇活動にも使えるようにアーチ状に囲まれ、観客が集中しやすいようになっている。
キャンパスツアー(要予約)に組み込まれており、使用状況によっては大講堂内も見学可能。(取材・文/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年6月17日号