
ずっと応援してくれる人にはシューズやガウン、東スポの名前が入ったトロフィーなんかもプレゼントしたことがあるよ。引退した後は、ファンに作ってもらったガウンやコスチュームをその人に“お返し”したりね。俺が獲得したタイトルやトロフィーは応援してくれた人がいたからこそ、取れたものだし、ファンもそれを見て思い出が蘇ってくれればいいなと思っている。
それから、俺がしたファンサービスで思い出深いのは、力道山関が持っていたJ1のベルトをWARで復活させたことだ。そのベルトを巡るトーナメントを俺が制して、そのベルトをファンに触ってもらったんだよ。ちょうどその日はクリスマスで「力道山関が巻いていたベルトを取ったぞ! みんな触れ!」って、クリスマスプレゼントのつもりで触らせたんだ。WARを見に来てくれたファンに、力道山関の時代のプロレスを少しでも感じてもらえたんじゃないかと思っている。
他のレスラーでファンサービスがよかったのは、俺が見た中ではテリー・ファンクが一番だ。テリーはどんなときでもファンと握手したり、サインしたり、写真を一緒に撮ったり、実直にコミュニケーションを取っていたね。どんなに朝早くても、急いでいても、酔っ払いが話しかけてきても、テリーは絶対に嫌がらず、時間をとって、立ち止まって相手をしていた。
ドリーはそんなテリーに付き合ってしょうがなくやっている感じだったけど(笑)。対照的に、移動用のバスに先に乗って待っている俺たちはいつまでたってもバスを出せないから「またテリーがやってるよ」なんて文句を言っていたもんだ。俺だけじゃなくて、ジャイアント馬場さんも「テリーと一緒にいるといつもちんたらしているから頭に来るんだ!」って怒っていたよ(笑)。
そんな馬場さんは、いつも大会のグッズ売り場にいて、グッズを買ってくれたファンにサインをしていたね。馬場さん流の最大限のファンサービスだよ。奥さんの元子さんに言われてやっていたんだろうけど、馬場さんもファンと触れ合えるのはあの場所しかないと思っていたんだろうね。