最近は定年後の再雇用で、かつての上司が、部下となって仕事をすることもある。一般的に、中高年が若い世代とコミュニケーションをとるのは難しい。若い世代には、雑談が嫌いで、プライベートを聞かれたくない人、話したくない人もいる。中川さんは「コミュニケーションをとろうと根掘り葉掘り聞かず、自分が聞きたいことでなく、相手が聞いてほしいことを聞く」のがいいとアドバイスする。

「中高年はコミュニケーションのキャッチボールの仕方を学んでこなかった」

 こう話すのはコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さん。キャッチボールでは、相手が受け取りやすい球を投げる必要があるという。

 日本人は話すことが苦手な人が多く、あきらめている人も少なくない。そうした人に対し、岡本さんは「聞くことを主にするといい」とアドバイスする。相手の話を聞く、質問を聞くなど、「話は基本的に聞くもの」と岡本さんはみている。

「いまの時代は、話を聞いてほしい人がたくさんいますが、聞きたい人はいません。みんなが話したがって、ついつい話している。聞く人は愛されます」(岡本さん)

 話す状況にもよるが、仕事で説明する場合などは、手短に、端的に伝えるのがいいという。信頼関係を築くなど共感を得るには「話すのを後回しにして、主に聞くこと」(同)。特に、男性は共感を得るよりも、自分の理屈で攻めようとする傾向が強いという。

 男性にありがちなのは「話すことが権力の行使になり快感になる。そうしてしまいがち」と岡本さんはみている。男性は潜在的にヒエラルキー(階層制)のなかで競争し、肩書がないとコミュニケーションができない人が少なくないという。

 さらに、日本の中高年の男性にありがちなのは、笑顔を見せないこと。笑顔を見せると負けとばかりに考える人もいる。挨拶、うなずき、笑顔、お礼の四つだけでもいいとアドバイスする。

「コミュニケーションから変えていく。変えたいと思えば、変えられる余地があります」(同)。特に大切とみているのが「謙虚さを持つこと」という。

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