「キャメラを止めるな!」(C)2021 - GETAWAY FILMS - LA CLASSE AMERICAINE - SK GLOBAL ENTERTAINMENT - FRANCE 2 CINEMA - GAGA CORPORATION
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 第75回カンヌ映画祭(5月17~28日)が終わった。マスクなし、PCR検査なし、自己隔離期間なしと、ほぼ日常が戻った今映画祭での、日本勢の活躍を改めて振り返る。

 映画祭のオープニング作品となったのは、日本で大ヒットした「カメラを止めるな!」のリメイクでミッシェル・アヴァナシウス監督の仏映画「キャメラを止めるな!」。笑いと映画愛を賛歌する内容で、活気の戻った映画祭の幕開けにふさわしかった。(7月15日から公開)

 昨年は濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カイー」がコンペ部門で脚本賞を獲得。その後米アカデミー賞をはじめ多くの賞を受賞し世界的なヒットへと拡大したことは記憶に新しい。今年も濱口監督の後に続くと思われる新星が登場した。「プラン75」が「ある視点」部門に選出された早川千絵監督だ。

「プラン75」(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee
「プラン75」(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

 早川監督は8年前、映画学校の卒業制作「ナイアガラ」がシネファンデシオン部門(学生映画部門)に選ばれたのがカンヌ初体験だった。「『ナイアガラ』のときと比べると、今回はプロのプロデューサーがついて、スタッフに恵まれ、時間をかけて作った映画なので、8年前の時のような驚きはなかったです。みんなの努力が結果に結び付いたことがすごくうれしい。良かった、安心した、というのが一番大きな気持ちです」と語った。

 本作は日本の近未来で、政府が75歳以上の高齢者が自らの生死を選択できる「プラン75」という制度を施行した、という設定。倍賞千恵子演じる独り暮らしの主人公ミチに寄り添いつつ、さまざまな問題を観る者に投げかける。「根底には、非寛容な社会に対する私自身の憤りがあったんです。大きな危機感に突き動かされてこの作品を作りました。今作の制作を通して、自分自身に何か大きく心動かされるものがないと映画1本撮るのは難しいなというふうに思っています」(早川監督)

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