大宮エリーさん(写真左)と加藤登紀子さん(撮影/大野洋介)
大宮エリーさん(写真左)と加藤登紀子さん(撮影/大野洋介)
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 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。3人目のゲストは、在学中に歌手デビューした加藤登紀子さんです。

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大宮:実はちらっと学生時代にお見かけしたんです。赤いワンピースの登紀子さんが駒場寮に来られて。廃寮に反対する運動があった頃です。

加藤:ああ。廃寮反対を支援してほしいと学生に頼まれて、「寮を1回見たいわ」って言って、赤い服を着ていったと思う。コンサートもしたんだけど、(東大卒で、ドラゴンクエストの音楽も手がけた)すぎやまこういちさんも一緒で、彼が学生たちにこう言ったわけ。「僕は今日ここに来て、がっかりしたことがある」って。

大宮:なんです?

加藤:駒場祭の最中でタテカン(立て看板)がそこら中にあって、にぎにぎしかったの。すぎやまさんは「あの稚拙なタテカン、君たちはよく恥ずかしくないな。ここに見る限り東大生の美的感覚は全く最悪だ」と。

大宮:うん。

加藤:というのは、「君たちは最も大事な、五感を育てたり、美意識が育ったりする時間を、受験勉強でつぶしてるんだぜ。だからお前たちは欠陥人間なんだってことを自覚しろ」って言ったのよね。

大宮:東大入ったということはもう欠陥人間だと。

加藤:今日のテーマにぴったりでしょ。

大宮:ドンズバです。ガツンと言ったわけですね。東大生はちやほやされて、自分たちは最高の頭脳だと思っている人も多かったりするから、そういうメッセージはいいですね。

加藤:そう、勉強ばっかりでね、遊んでない。

大宮:うちの父は東大出なんですけど、私に「女は大学行かなくていい」って言ってました。結婚できなくなるから、みたいな。

加藤:男尊女卑ね。

大宮:はい、まさに。母はそんな父の「3歩下がって……」みたいな人で、それで私は男性に依存せずに生きたいと思ったんですね。植物の研究をしようと植物園のある東大に入ったけど、父はめちゃくちゃ怒って。

加藤:うちの父も反対でしたよ。

大宮:本当ですか!

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