
加藤:うちは、お父ちゃんが反対したら余計に燃える家族で。母はあなたと同じで「男に付いて行ってはいけない」という考えの人だった。
大宮:かっこいい!!
加藤:私は(都立)駒場高校に行っていたのね。
大宮:東大の目の前ですね。
加藤:高校時代、少し学生運動をしてて、だんだん成績が下がってきちゃって。3年のときに先生から「このままじゃ東大は無理だ」ってこっぴどく言われ、私、言い返したの。「高校は受験のためにある時間ではありません。私は今しかできないことをやっているんです」って。腹が立つから東大しか受けないって決めて。その日から勉強を始めました。
大宮:へー!!
加藤:東大ではクラス50人中、女性は7人だけ。入学後に女子だけ集められて、先生から「東大女子は非常に就職が難しい」と言われたの。その頃は、会社はお茶くみの女性がほしいから、高卒が喜ばれたのね。女子大卒、短大卒もウェルカム。でもそれ以上のキャリアを持った女性の行く場所がなかった。
大宮:私も、就職活動では33社断られましたから。
加藤:そうだったの。あとね、東大卒の女子の結婚率は20%以下と言われて、先生が「君たちは断崖絶壁に来ているから未来に道はない」ってね。だから、私の中で就職しないことは結構早くから決めていました。就職試験は受けず、シャンソンのコンクールだけ受けて、ね。
※AERA 2022年6月13日号