15歳から、17歳へ―この決定は、どんな変化をもたらすのだろうか。
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6月7日に開かれた国際スケート連盟(ISU)の総会で、五輪などの国際大会に出場できるフィギュアスケート選手の年齢が、現状の15歳から17歳へ段階的に引き上げられることが決まった。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に出場できるのは、17歳以上の選手だ。
この決定により、日本女子では、既に4回転ジャンプを成功させており活躍が期待されていた13歳の島田麻央がミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に出場できなくなった。目標にしてきた五輪出場が叶わなくなった選手たちにとっては、大きな衝撃だろう。その心情は察するに余りあるが、近年の経緯からこの決定は避けられなかったと考える。
年齢制限の引き上げについては2018年のISU総会でも提案されたが、この時は議題から外されている。しかし、その後も特に女子シングルでの低年齢化は加速していた。
決定打となったのは、2022年北京五輪でのカミラ・ワリエワのドーピング問題だろう。五輪期間中に、当時15歳のワリエワについて、過去の大会で採取した検体から禁止薬物が検出されたことが明らかになった。しかし、世界反ドーピング機関(WADA)の規定では16歳未満の「要保護者」に相当することを理由に、CAS(スポーツ仲裁裁判所)によってワリエワの出場継続が認められた。物議を醸した女子フリーが行われた数日後、現地で関係者がメディアに対し、年齢引き上げ案をISU総会に諮る方向であることを明らかにしている。
ロシア女子の中で例外的に長年活躍し続けている25歳のエリザベータ・トゥクタミシェワは、インスタグラムで今回の決定について意見を述べている。勝利する若手の位置にいた自分が今は難しい技を持つ若手と競う立場におり、それがモチベーションになっているとしながらも、この決定が「心身の健康維持の観点からは正しいのだろう」と綴った。そして、「結果的には、そうした変化がキャリアを継続するための動機付けとなり、選手のためになると信じたい」と結論づけている。