不潔だからアタマジラミに感染するというのは誤解だ  ※写真はイメージです(GettyImages)
不潔だからアタマジラミに感染するというのは誤解だ  ※写真はイメージです(GettyImages)
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 プール開きを迎えるこの時期にチェックして見つかるケースも多いアタマジラミ。「現代の衛生環境ではうつらない」と油断していたら大間違いだ。国立感染症研究所によると、年間約83万世帯が感染しているとも推定され、決して過去の話ではない。それどころか、近年は耐性がつき従来の薬では駆除できないシラミも増えてきているという。専門家は「不潔だから感染するというのは誤解だと知ってほしい」と話す。

【閲覧注意】フケと見間違えそうなシラミ(成虫の拡大写真も含まれています)

「何度か専用のシャンプーを使ったが、3年前から駆除できていない」

 琉球大学病院皮膚科の山口さやか医師に、そう相談してきたのは小学生の2人の娘を持つ父親だった。シングルファーザーで仕事が忙しく、「どうにかしてあげたいんですが……」と困り果てた様子だったという。シラミが発見されると市販の専用シャンプーと目の細かいすきぐしを使い1週間~10日かけて駆除するのが一般的だが、効果はなかった。

 そもそも「アタマジラミ」とは、人に寄生する3種類のシラミの一つで、体長2ミリほどの成虫が毛髪にしがみつき、頭皮から吸血して繁殖すると1カ月ほどで激しいかゆみが出る。日本国内では1971年にDDTなどの有機塩素系殺虫剤が禁止されたことで、子どもを中心に集団発生するようになったが、82年にピレスロイド系殺虫剤(商品名「スミスリンシャンプー」など)が発売されて患者数はいったん減少。しかし、90年代から再び発生件数は増加傾向となっていた。長期にわたって一つの殺虫剤を使い続けると抵抗性遺伝子を持つ個体が増えるのが害虫駆除の常。「欧米では30年前から問題になっていた」(山口医師)が、日本国内でも国立感染症研究所による2006~11年の調査で、東京都で8.6%、愛知県で22.2%など、沖縄県以外の平均で5.0%が抵抗性遺伝子を持っていることが確認されている。しかし沖縄県では95.9%を占め、冒頭の姉妹を悩ませていたのも従来の殺虫剤が効かない抵抗性を持つシラミだった。

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出席停止が必要な伝染病ではないのに…