抵抗性遺伝子を持つシラミを外見で判断することはできない(山口さやか医師提供)
抵抗性遺伝子を持つシラミを外見で判断することはできない(山口さやか医師提供)

 シラミ駆除剤として40年ぶりの新規成分となる今回の薬剤は、シリコーンの一つで食品や化粧品にも広く使われているジメチコンでシラミをコーティングして駆除するというもので、殺虫成分を使っていないため安全性が高く、抵抗性がつくことがないというメリットがある。欧米で抵抗性シラミ駆除剤として市販されているものと同成分だ。

 15年以上前から商品化を構想してきたというアース製薬開発部部長の岩田陽一さんは、「シラミの悩みがもっとオープンになってほしい」と訴える。

「市場規模から考えてもたくさん売れる商品ではありませんが、社会的な意義があると感じ商品化にこぎつけました。シラミ罹患者はほとんどが小児で、清潔にしていてもどこかで発生して、うつります。たかが虫なのに、周りに知られたくないと思うほど誤解が根強く、幼い子どもたちが精神的に大きな負担を抱えています。欧米ではシラミが出たら駆除しようという意識が高く、駆除剤のテレビCMが普通に放送されていて、日本でも隠す必要のないものになってほしい。従来の薬剤ではどうしても駆除できないシラミがいることや、抵抗性にも効く新しい駆除剤があることを知ってほしいと思います」

 山口医師によると、処方薬の開発も進んでいるという。近い将来、シラミは怖がらなくていい虫になるかもしれない。(AERA dot.編集部・金城珠代)

ジメチコンで抵抗性アタマジラミも駆除できるようになったアース製薬の「アース シラミとりローション」(同社提供)
ジメチコンで抵抗性アタマジラミも駆除できるようになったアース製薬の「アース シラミとりローション」(同社提供)
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