東証ETFと海外ETFでは値動きやリターンが違う、いわゆる「価格ズレ」があるって本当? ETFの分配金が「今は」安くていい理由って何? 運用会社がまっすぐ回答。
東証ETFと海外ETFのスペックを比べると、東証ETFのほうが売買手数料もほぼかからず、為替手数料もない。税金面でも有利だ。それなのに、なぜか海外ETFを愛用する人がいる。
「東証ETFにはない、米国の増配株のETFや米国の高配当株のETFが欲しいから」ということならわかるが、S&P500や全世界株式のETFも「外国製」を好む。
その理由の一つを聞くと「東証ETFの市場価格が本家の海外ETFと比べて、だいぶズレているから」と。やはり現地そのままの値動きで運用したい、というのだ。
なるほど。これは運用会社に直接取材するのがよさそうだ。聞きづらい質問だが、ぶつけた。東証ETFは海外のものと比べて価格がズレズレで話にならないって本当ですか?
回答者は、東証ETFの中でも人気の「MAXIS」シリーズを運用する三菱UFJ国際投信の佐藤尚慶さんだ。
■為替レートで差が出た
価格自体がズレているのは、どうも本当らしい。
「S&P500と全世界株式に連動するETFの2021年の騰落率を比較してみましょう。S&P500は東証ETFの『MAXIS米国株式(S&P500)上場投信』と米国ETFの『バンガードS&P500ETF』(VOO)を比べます。
全世界株式は『MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信』と『iシェアーズMSCI ACWI ETF』(ACWI)を比べます」
S&P500では、東証ETFの「MAXIS」の年間騰落率は43.1%だが、「バンガード」のVOOは28.1%。全世界株式も「MAXIS」の29.7%に対し、「iシェアーズ」のACWIが16.9%。
確かにズレている! 違う! いずれも東証ETFのほうが上だ。この差は、なぜ生まれるのか?