「騰落率が違うのは、為替レートの影響です。東証ETFの『MAXIS』は、同じS&P500や全世界株式に連動していても、円建てで市場価格を表示しています。
海外ETFは米ドル建てで取引されていますから、価格も『○○○ドル』というドル表示です。米ドル/円の為替レートの年間騰落率の差が両者の差となって表れているだけ。
運用に優劣があるわけでは決してありません。海外ETFをその時々の為替レートで円建てに直して比べると、パフォーマンスはほぼ一緒です」
2021年の1年間で米ドル/円の為替レートは11.13%程度、円安方向に動いた。「バンガード」(VOO)の年間騰落率28.1%と為替レートの上昇率約11.13%で計算(※)すると、バンガードの騰落率は約42.35%。MAXISの43.1%と、さほど変わらない。
※計算式:(1+28.1%)×(1+11.13%)=1.4235=42.35%
「東証ETFの『終値』は『東証の引け時間(日本時間15時頃)のS&P500の理論株価×同時刻の米ドル/円レート』が基準となります。
そして東証ETFの基準価額は『米国市場のS&P500の前日終値×当日午前9時55分に決まる米ドル/円レートの仲値(その日の為替レート)』が基準。算出される時間がズレているから価格がズレて見えるという、タイミングの問題です。
日々、同じ方法で計算されますから騰落率自体はズレません」
終値には、売りたい人と買いたい人のパワーバランスが集約されている。需給で価格が決まる世界だ。ただでさえブレがちな終値に、さらに為替を反映させるタイミングが約半日ズレるので、数字上はこうなっている、ということだ。
■信託報酬は高いのか
東証ETFは海外ETFに比べると信託報酬が少し高い、という指摘もある。たとえば東証ETFの「MAXIS米国株式」の信託報酬は税込みで年0.077%以内。一方、海外ETFの「バンガードS&P500ETF」(VOO)は年0.03%と2分の1以下だ。それにしても、嫌な質問ばかりして申し訳ありません。