これまでに1万人の脳を見てきたという脳内科医・医学博士の加藤俊徳さんは、自らの経験とこれまでの探究を踏まえ、6月に『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』という本を出版した。脳は、「思考系」「感情系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の八つの分野に分けることができ、必要な分野を鍛えることで、「こうしたい」と願っていることを引き寄せられる、と説いた本だ。
※記事<<チャンスを逃さない「引き寄せ」のカギは「脳番地」にあり 脳内科医が教える脳の仕組みとは>>より続く
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新生活の緊張が途切れ、やる気が出なかったり、思考が後ろ向きになったりする「6月病」が増えているとされる昨今。ここでは、「自分に合った仕事」を引き寄せるコツを紹介したい。
加藤さんによれば、「自分に合った仕事」には二つの要素がある。ひとつは、その人の脳の強みから見て「向いている」こと。自分の脳の得意分野を知ることが仕事選びの手助けになる。「人とのコミュニケーションが得意だな」と思う人は、伝達系脳番地が強いので、相手との意思疎通が重要な接客業や営業職で力を発揮するだろう。また、「自分は欲求に応じて、素早く体を動かせる」という人は運動系脳番地が強いので、農業やプロスポーツ選手が向いている、と加藤さん。
例えば、教師や銀行員に向いているとされる「記憶系脳番地」の機能を健やかに保つためには、しっかり睡眠をとることが最も大切だ。加藤さんは言う。
「実は記憶系に限らず、脳には毎日最低限7時間程度の睡眠が必要といわれています。しっかり寝ること、これが何よりのトレーニングです」
もうひとつの要素は「やりたい」仕事であること。自分に合った仕事を選ぶ際、向き不向きはいったん脇において「やりたい」を判断基準にし、「やりたいこと」の中に身を置くことを加藤さんは勧める。脳は適応力が高いので、「やりたいこと」と「向いている」が徐々に一致していくという。
やりたいことがわからないという場合は、どうすればいいのか。「今、自分が置かれている場所、与えられている仕事で何かしらの“ナンバーワン”を目指してください」
売り上げ1位、好感度1位、後輩に慕われる1位など、何でもいい。やれることを全部やって、今いるところでベストを出し切る。やるだけやって飽和すると、またおのずと別の場所、やりたいことが見えてくるはずだ。