ジメジメとした季節・梅雨。家の中には湿気という大敵が現れる。放置すれば熱中症やカビにともなうアレルギー症状などの、さまざまな健康リスクも。厄介な湿気を退治するためのテクニックの数々を、その道のプロたちに聞いた。
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雨や曇りなどスッキリしない梅雨の季節。特に蒸し暑さが体にこたえる。
「湿度が60%を超えると、人間の体に影響が出てきます。湿度が10%上がると、体感温度は約2度上がるといわれています」
そう話すのは、運動生理学を専門とする横浜国立大学教育学部の田中英登教授だ。天気予報などで使われる「湿度○%」とは、相対湿度という数値のこと。空気中で水蒸気を含むことができる量の限界(飽和水蒸気量)は気温ごとに決まっており、限界までのうち何%含んでいるかを示す。
「人間は気温が高くなると汗をかいて蒸発させ、気化熱で体の熱を奪って体温を下げようとしますが、湿度が60%以上になると蒸発しにくくなります。体温も下がりにくく、より暑いと感じるようになる。熱中症の危険性も高まります」(田中教授)
湿度が高く不快なときは、汗が気化しやすい状況を作るのが一番の対策だ。扇風機などで室内に大気の流れを作れば、蒸発を促進するという。また、冷たい濡れタオルで体や顔を拭くのもいい。
「冷却スプレーは一時的に冷却感を得るときにはいいのですが、多用すると脳が『冷たい』と勘違いし、体温調節のための発汗など、生理的反応を起こしにくくなるので注意しましょう」(同)
もう一つ、忘れてはならないのは水分補給だ。
「湿度が高いほど汗をかくため、水分補給は必須。湿度に体調が左右されにくい体を作るには、タンパク質をしっかりとること。摂取した栄養素をエネルギーに変えるにはクエン酸が必要。酢の物やレモン、梅干しなども意識してとりましょう」(同)
高い湿度は人体だけでなく、住環境にも影響を及ぼす。最たるものはカビの発生だ。NPO法人カビ相談センターの高鳥美奈子さんはこう話す。