「カビには風呂場など湿っぽい所を好む好湿性のクロカビやアカカビ、乾湿を繰り返す所を好む耐乾性のアオカビやコウジカビ、乾燥した所を好む好乾性のカワキコウジカビなど多くの種類があります。湿っぽい=カビではなく、室内、屋外問わず発生します。カビの胞子は、吸い込むと鼻炎やくしゃみなど、アレルギー症状の原因になります」

 カビの発生要件には温度、湿度、酸素、栄養があり、逆にこの四つがそろわなければカビは発生しにくくなるという。

「梅雨は湿度70%以上になる日が増える。湿度80%が3日間続くとカビには好都合です。一般的には20~30度がカビの好む温度帯ですが、クロカビは冷蔵庫の中などでも発生します。人の皮脂やアカ、フケ、部屋のホコリなどがカビの栄養になります」(高鳥さん)

 人の行き来が少なく空気が滞留し、ホコリがたまりやすい部屋の隅などは、絶好のカビ繁殖地に。

「カビは胞子の状態で、梅雨の前からあちこちにいます。カビが好む湿度の高い場所に胞子が居座ると、菌糸を伸ばして成長し、夏になると新たな胞子を空気中に放ちます。本当は梅雨前から対策が必要ですが、梅雨中でも遅くはありません」(同)

 第一の対策は風通しをよくすること。そして、こまめな掃除だ。

「昔は衣類や本などを干す『土用干し』がありましたが、干して風を通すのは有効。押し入れやクローゼット、シューズボックスなども閉めたままにせず、数センチ開けておくといいでしょう。ホコリはカビの好物なので、部屋にホコリをためないことです」(同)

 部屋のどこに湿気がたまりやすいかは立地条件によって異なる。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんはこう指摘する。

「戸建てだと川や暗渠の近くや高低差がある土地の下のほう、集合住宅はより地面に近い低層のほうが湿気が高くなります。タワーマンションも窓を閉め切りがちなので、実は湿気がたまっています」

 取材等でよく個人宅を訪問する藤原さんは、健康を意識して加湿器を使用する人をよく目にするという。しかし、これには注意が必要なようだ。

「乾燥しやすい冬場の加湿は必要ですが、気温と湿度が上がれば必要ありません。家屋や衣類、布団にとって加湿していいことは一つもなく、カビを増やすだけ」(藤原さん)

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