大宮エリーさん(写真左)と加藤登紀子さん(撮影/大野洋介)
大宮エリーさん(写真左)と加藤登紀子さん(撮影/大野洋介)

加藤:でも、駒寮の最後はかっこよかったよ。寮をつぶすから出ていきなさいといわれてね、不法にみんな住んでいた。素晴らしかった。

大宮:不法占拠自体が一つのデモだったんですよね。そのうち一人が友だちでした。

加藤:偉いわね。でも、掃除くらいしたらって(笑)。

大宮:激動の時代の東大にいらして、今の東大をどう思いますか。

加藤:安田講堂で学生が闘争したのはすごかったけど、大学側が警察に頼んで機動隊が入り、東大自身が自治をぶっつぶした。それは東大にとってマイナスだった。素晴らしい人たちの可能性を断ち切りました。

大宮:(東大卒の)父から全共闘の話を聞いていたので、東大って熱いところだとドキドキして入学したけど、ほのぼのとした感じでした。

加藤:最近では、反原発運動や、SEALDs(シールズ)を中心とした安保法制への反対デモとかもあったけど、近頃のデモはおまわりさんに管理してもらっていて、びっくりしました。事前に申請した時間ぴったりに終わる。民主主義の権利の中で行動するという原則なんでしょうけど、私たちの感覚ではちょっと違うなって思う。昔は「物議を醸すこと」に命をかけたんだものね。

大宮:なるほど……。

加藤:香港やミャンマーでも、逮捕されるのがわかっているのにデモや抗議行動をする人たちがいる。あのころの学生運動も、今になってみると、あれでよかったのかと、悔しいような悲しいような気持ちになるけど、記憶に残る素晴らしい時間だったことは確か。

AERA 2022年6月27日号

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