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 作家・コラムニスト、亀和田武氏が数ある雑誌の中から気になる一冊を取り上げる「マガジンの虎」。今回は「pen」と「モノ・マガジン」。

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 ウルトラマンとは、何者なのか。そして、彼はなぜ怪獣たちと闘うのか。映画「シン・ウルトラマン」のヒットを受けて、「pen」(CCCメディアハウス)6月号と、「モノ・マガジン」(ワールドフォトプレス)7月16日号は、異なるアプローチでその本質に迫った。

 海洋堂のフィギュアから、Tシャツなどシン・ウルトラマン関連グッズを紹介させたら、「モノ・マガジン」の独壇場だが、他にも読みどころ満載だ。

「ウルトラセブン」でモロボシ・ダンを演じた森次晃嗣の4Pインタビューは、「セブン」の脚本の魅力を具体的に語り、その質の高さと挑発力あふれる新鮮さを改めて気づかせる。金城哲夫や市川森一の脚本を森次は絶讃する。印象的なシーンに、彼はメトロン星人と対面する場面をあげる。

 実相寺昭雄の描いた絵と書を思いだす。卓袱台を前にした両者の味がある絵に“宇宙人には、座布団をすすめるべきか”の書が添えられた絶品だ。

 宇宙怪獣と、なぜウルトラマンは闘うのか。映画では、その謎も提示される。地球人を意のままに使おうという文明的にははるかに高度な外星人と、地球人との間の狭間で悩み闘うウルトラマン。その狭間の意味を監督の樋口真嗣や主役の斎藤工が語る。

 高次の生命体が幼稚な地球人を教育し進化させるという発想はアーサー・C・クラーク『幼年期の終り』を想起させる。傑作といわれる同作に、私はかつて違和感を覚えた。ともあれ、そうした世界観を持つ新作を撮るため、撮影も変化した。

 iPhoneが何十台と俳優たちに渡され、「見たこともないアングルや多様な質感の映像が」次々と収められたという。マルチバース的なウルトラマンの誕生が予感される。

週刊朝日  2022年7月29日号