術後には、いわゆる「ダウンタイム」と呼ばれる、まぶたの腫れや目のゴロゴロ感などの症状が落ち着いてゆく期間がある。経皮膚法では通常2週間ほどで症状はほぼ収まり抜糸となるが、小切開法ではこのダウンタイムも短い。
「術後は目が大きく開いて涙が蒸発しやすくなり、涙を排出するポンプ機能も改善されるため、目が乾き気味になります。それも術後半年ぐらいで改善します」(同)
眼瞼下垂から引き起こされていた全身症状も改善することが多い。
「術後も眉は上がったままという人もいますが、頭痛や肩こり、額のシワなども改善する人が多いですね」(同)
手術は保険診療で可能だが、保険が使えるのは「見えにくさ」などの目の機能面に症状がある場合だ。「額のシワ」の解消といった見た目の整容面の改善のみを目的とする手術では通常、保険は適用されない。
眼瞼下垂の手術は目の機能面と整容面の両方の配慮が必要でオーダーメード的な側面も強い。眼科の専門性や安全性、二重の幅に左右差が出ないような形成外科的な技術力も求められる。
「近年、眼科と形成外科それぞれの特徴を兼ね備えた『眼形成外科』という分野が注目されています。その専門医であれば眼瞼下垂の手術も安心して受けられます。日本眼形成再建外科学会のHP(https://www.jsoprs.jp/)で各地の医療機関を検索できます」(松田医師)
(文・石川美香子)
※週刊朝日2022年7月8日号より