視察旅行4日目、今度は昼の明洞を訪れた。人出はコロナ前と比べればかなり少ないが、店によってはにぎわいを取り戻している。ここ明洞などで観光案内の仕事をして7年目だという40代の女性が、こう教えてくれた。
「以前はコスメショップなど外国人観光客向けの店ばかりで、地元の若者はあまり明洞に来ませんでした。でもコロナの影響で店が入れ替わり、MZ世代(ミレニアル世代+Z世代。20~30代の若者たちを韓国ではこう呼ぶ)向けのショップやカフェが増え、地元客が多くなってきています」
アップルストアやナイキの大型コンセプトショップなど、世界的ブランドも新たに明洞に出店している。
ソウル旅行の定番が明洞なら、最旬エリアは聖水洞(ソンスドン)だ。町工場をリノベーションしたおしゃれなカフェやショップが数年前から増加し、“ハップル”(韓国語でホットプレイスの略で、話題のスポットのこと)としてSNSでもよく紹介されている。2年半ぶりに訪れた聖水洞は、お店がさらに増え、若者たちであふれていた。
車の整備工場をリノベーションした「アモーレ聖水」は、1945年創業の大手化粧品メーカーであるアモーレパシフィックが手掛ける複合空間。同社の40余りのブランドから約1800種類のアイテムを試すことができるショールームや、緑茶メニューが売りのカフェなどを備える。2021年4月からスタートした、100色のベースカラーと2種の質感(マットとグロウ)から自分に合ったファンデーションを作れる有料のサービスが特に好評だ。予約制ということでこの日は試せなかったが、独自のプログラムで診断しロボットが製造するという工程が興味深かった。
聖水洞で今一番のハップルはおそらく、フランスの高級ブランド「ディオール」のポップアップストアだろう。22年5月にオープンしたばかりだが、日によっては1~2時間ほど待たないと入店できないそうだ。中に入らずとも、きらびやかな建物の前で写真を撮る人が多く、訪れたときも20~30代と思われる女性たちがひっきりなしに撮影していた。