■睡眠を取るのが大切
──最近だと、睡眠中に脳が記憶の整理をするということが知られてきています。
海馬が脳に入ってきた情報を眠っている間に見直し、必要な情報を取り出せるように整理します。それが夢を見ている状態です。レミニセンス効果といって、解けなかった問題が解けたり、弾けなかったピアノの一節が弾けるようになったりすることもあります。睡眠を削って勉強するのではなく、きちんと睡眠を取るのが大切です。
一般的には、夜寝る前の1、2時間だけのことが記憶として定着すると言われています。だから朝やったことを、夜寝る前に復習すると記憶が定着しやすいです。でも、これだと寝る前のことしか定着しないので効率が悪い。そこで重要になってくるのが、勉強をしたら休憩をするということです。
1時間なら1時間勉強したあとに、10~15分の休憩を入れてください。このとき重要なのは何もしないこと。静かな部屋で目を閉じてボーッとする。15分ほど何もしないと、海馬からリップル波という脳波が出てきて、記憶が咀嚼(そしゃく)されて定着します。
普通、休憩というと友だちとおしゃべりしたり、趣味のウェブサイトを見たりとか思いますよね? でも、それは脳にとっては入力なんです。下手すると、勉強したことは忘れてネットの情報を覚えている、なんて状態になりかねない。とはいえ、15分何もしないってつらいですよね。だから仮眠を取ってしまうと楽かもしれません。休憩も仕事や勉強のうちと思ってがんばってください。
──何か他にも、脳のクセを利用した勉強法はありますか?
たとえば、勉強するときは場所を変えながらする。机で勉強して集中力が切れたら休憩を取って、次はちゃぶ台で勉強をするとかですね。このとき、科目も変えることが大事です。
これは、シンプルに言えば脳がリフレッシュするんです。海馬は場所にすごく敏感なので、場所が変わると新しいものとして認識します。逆に、休憩したあとに同じ科目を勉強すると、記憶が混同して成績が下がったというデータがあるほどです。