
大宮:じゃあ、会社で隣に座ってた人は野口さんが宇宙に行くとテレビで見て、「え!」っと椅子から転げ落ちたんじゃないですか。
野口:5年、会社に通っていたけど、全国ニュースに出た翌日、守衛さんが敬礼してくれました(笑)。僕は工場の隅っこから隅っこへ油まみれの部品を運び、作業員さんに「これお願いします」って渡していたので。
大宮:そういう経歴だからこそ感情移入できる。すごい人が宇宙に行ったんじゃなくて、隣の野口さんが宇宙に行ったぞ!と。
野口:そうだと思います。
大宮:しかし、5年? 結構現場の仕事をされてたんですね。
野口:東大では、きれいな勉強をする。シミュレーションしたり理論作ったり、最先端の技術を使ったり。それが会社に入るとねじを運び、高卒で30年働いているおっちゃんに「何にも知らねえな」って怒られる。そういう経験はしたほうがいい。
大宮:いい!
野口:ある種、大事なステップなんだと思います。東大でもどんな名門校であっても、大学がやっていることは実学とかけ離れていますから、一度社会でつぶされないと。
大宮:え、野口さんも?
野口:こんなことするために会社行ったんじゃない、みたいなのありましたよ。で、宇宙飛行士に応募した。
※AERA 2022年7月18-25日合併号