ウクライナ東部はロシア語を話すロシア系住民が多く、もともとロシアとの親和性が高い。クリミア半島も東部にある。一方、首都キエフのある西部はウクライナ語を話すウクライナ系住民が多い地域で、ロシアより親欧米の傾向が強い。

 政治的にはどうかというと、1991年の独立以降、基本的には親ロシア政権が続いてきた。しかし、2005年に「オレンジ革命」と呼ばれる民主化運動が起こり、親欧米派のヴィクトル・ユシチェンコ大統領が誕生するなど、それまでの流れが変わってきていた。

 そうしたなか、2010年の大統領選挙で親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が当選し、親ロシア政権が復活すると、ウクライナに不穏な空気が立ち込めはじめたのである。

ロシア系住民の支持を得たとして
瞬く間にクリミア半島を併合

 2013年、ヤヌコーヴィチ大統領はウクライナのEU(欧州連合)加盟を検討していたが、最終的には見送った。これに対し、親欧米派は大ブーイング。抗議運動を行い、2014年2月に親ロシア政権を崩壊させた。

 しかし、この動きにはロシアが黙っていなかった。ロシアは国際法を無視してクリミア半島を占領し、現地での住民投票でロシア編入を望む声が圧倒的多数(9割以上)であることを確認すると、瞬く間に半島を併合してしまったのである。

 クリミア半島にはロシア系住民が多く、ロシア艦隊が停泊する港もある。この港はロシア領内では貴重な不凍港で、ロシア海軍・黒海艦隊の基地が置かれている。そうした地政学的理由で、ロシアは半島を自国に編入したのである。

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併合後も戦闘が続き、ついにアメリカ介入の動きも