疲れ対策の基本は、睡眠をしっかりとること

「気・血・水」は同列かというと、違います。「血」や「水」はいわゆる物質。物質を動かすにはエネルギーが必要です。そのエネルギーとなるのが「気」で、一番重要。疲れのケアとしては、不足した「気」を補うことが何より優先されます。

「漢方では、『気』を補うものは“食事”と“睡眠”と考えています。この2つのうち、優先すべきは睡眠。疲れている時は胃腸が弱っていることも多く、そこで無理に食べると消化・吸収のためにエネルギー(気)をつかってしまい、かえって疲れを助長してしまう可能性もあります」と木村先生。多忙な日が続いた後や、月経中などの疲れやすい時は、意識的に早く床に就き、普段よりも長く睡眠をとってエネルギーをチャージするようにしましょう。

「疲れを感じているうちは、まだよいほうです。疲れが慢性化すると、疲れに対して鈍感になり、疲れを感じにくくなってしまいます。また、疲れそのものよりも、冷えや肩こり、胃腸の不調、頭がボーッとするなど、多様な症状を訴えるように。こういった様々な症状の背景に、疲れが隠れていることが多いのです」と木村先生。疲れが慢性化すると虚弱状態が進行し、気力がなくなり、体も思うように動かなくなり、年齢以上に老け込んだ感じになってしまう恐れがあると言います。また、抑うつ状態など精神面にも悪影響を及ぼしてしまうこともあるそうです。

 そうならないためにも、疲れはこまめに解消することが大切です。その日に消耗したエネルギー(気)は、その日のうちに十分に睡眠をとってチャージすることを心がけましょう。

30代半ば以降は、エネルギーの無駄づかいをしない

「女性は体のピークを過ぎた30代半ば以降は、エネルギー(気)の無駄づかいをしないこと。具体的には、家事も仕事も何でも100%こなそうと思わないことです。10代や20代の頃よりエネルギー(気)は確実に小さくなっています。何事も力任せで行うのではなく、経験に基づき、常に物事に優先順位をつけることが大切です。今、一番やるべきことは何かを考えて、意識して力を抜くことがポイントです。頑張るこがよいことだと思っている人は発想の転換が必要です」。

 無理して頑張らないのが疲れないコツ。これは老化の予防にもつながります。賢く力を抜いて、明日の元気をつくりましょう!

後編<<あなたの「疲れ」は6タイプのうちどれ? 漢方専門医が教えるチェックリストと対処法>>に続く

監修/木村容子(きむら・ようこ)先生
東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長、教授。お茶の水女子大学卒業後、中央官庁入省。英国オックスフォード大学大学院留学中に漢方と出会い、帰国後退職して東海大学医学部に学士入学。2002年より東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。医学博士。日本内科学会認定医。日本東洋医学会理事、専門医、指導医。著書に『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』(静山社文庫)、『太りやすく、痩せにくくなったら読む本』(だいわ文庫)、『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)他。

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