多くの女性が抱える「貧血」も疲れの原因に
貧血を原因とする疲れも女性特有のものです。貧血の多くが、体内の鉄が不足するために起こる「鉄欠乏性貧血」。月経によって毎月、血液を失う女性は、半数以上が貧血、あるいは貧血予備群ともいわれています。
鉄欠乏性貧血は、鉄が不足することで全身に酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンがうまくつくれなくなり、体の酸素欠乏を招くというものです。貧血の症状は様々で、疲れの他、肩こりや肌荒れ、爪の変形などを引き起こします。また、鉄は皮膚のコラーゲン線維の生成にも必要なミネラル。鉄が不足すると肌の健康も損なわれて美容面にも影響します。
鉄欠乏性貧血の予防・改善には、食事が大切です。レバーや肉類、魚類に多く含まれるヘム鉄は吸収率がよいのでおすすめ。海藻類や野菜、大豆などに含まれる非ヘム鉄を摂る時には、鉄吸収を促進するビタミンCを多く含む食物と一緒に摂ると効果的です。
1日に必要な鉄摂取量は、月経のある女性の場合10.5~11mg。ただ、月経で30~80mLの出血があると、毎月15~40mgの鉄が喪失(血液1mL中に鉄約0.5mg含有)するため、食事だけは十分に摂取しにくいこともあります。この場合は、鉄分を配合したサプリメントやドリンク剤を上手に活用しましょう。
漢方における疲れは、「気」や「血」が不足した状態
漢方では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」を体の構成要素と考え、この3つのバランスが整っている状態を“健康”と考えます。「気」は生命活動の源となるエネルギー、「血」は血液、「水」はリンパ液や汗などの体液を意味しています。疲れは主に「気」や「血」が不足した状態です。
検査値に異常はないが「疲れやすい」「疲れがとれにくい」といった不調段階(未病)から治療に取り組めるのが漢方の特徴です。漢方が疲れにアプローチする場合、まずは不足分を補うことからスタート。最終的には、「気・血・水」の3つがバランスよく体内を巡ることを目指します。