週刊朝日 2022年7月22日号より
週刊朝日 2022年7月22日号より

「こうした悩みを少しでも解決できたらと、管理人向けに認知症の居住者と向き合う社内マニュアルを策定し、今年度から利用を始めました。本来は管理人の仕事の範疇(はんちゅう)を超えていても、見て見ぬふりができない人も多い。困ったときの参考になればと考えています」(同)

■家族のヘルプで組合が動く例も

 高齢独居や孤立死の問題もある。一見、一戸建てより集合住宅のほうが近隣との距離が近く、何かがあったときに発見されやすいようにも思えるが、デメリットもある。

「マンションなどの集合住宅は、親族以外が部屋に踏み込んで安否確認することのハードルが、一戸建てより高い」とは、訪問看護師の大軒愛美さんだ。集合住宅で近隣との関係が希薄な場合、救急車を呼んだときの音が騒音トラブルに発展するケースもあるという。ケアマネジャー歴21年の牧野雅美さん(アースサポート)も、「マンションは外から部屋の中が見えない分、応答がないときに確認しづらい」と口をそろえる。牧野さんが関わった例では、マンションの玄関のインターホンを何度押しても本人が出てこず、玄関の扉についたポストを少し開けると、部屋の中から暖房の熱風が噴き出した。中に本人がいるはずだと察知。管理人不在のマンションだったことから、直接警察を呼び、家の中で倒れていた本人を救出することができた。

「高齢になると耳が遠くなり、インターホンや電話に反応しづらいケースもある。また来訪者が来たときにオートロックを部屋の中から解除する操作がわからなくなるケースもあり、介護スタッフが部屋に入るまでに時間がかかることは少なくありません」(牧野さん)

週刊朝日 2022年7月22日号より
週刊朝日 2022年7月22日号より

 マンションにおける孤立死の場合、最初に異変に気付くのは管理人であることが多い。前出の大和ライフネクストの調査によれば、「これまでに孤立死の対応をしたことがある」と答えた管理人は全体の11%。「居住者の姿を見かけなくなった」「新聞がたまっている」などの異変に気が付き、警察や消防、親族に連絡するといった対応だ。前出の久保さんは言う。

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