もちろん、呼んでいただく以上は全力でやらせてもらいますけど、自分を客観視すると、そういう思いにもなりますし、だからこそ、少なくとも全力でやるしかないという思いにもまたつながっていくんです。
井上:ま、石田の場合は、とんでもなく真面目だと思います。ネタ作りもそうだし、私生活で子育てでもそうですし、本当に真面目だし、だからこそ、今も僕らができているんだとも思います。
オレにそれをやれと言われてもできないと思います。僕はサボっちゃいますからね。石田は会社員をしていても、最終的に取締役とかにはなっていると思います。
石田:逆に、井上のプレイヤーとしての才能はすごいと僕は思いますね。漫才という枠だけで考えても、ツッコミもボケもできるし、かなりの幅のことができる。ネタを書く側としたら、それだけの幅があると作りやすいですからね。
年々、芸人としての能力値も上がっていると思うんですけど、人間としては年々、事実として老いてますからね。カッコつけてる人間が老いていくとなると、こちらもそこに創作意欲が湧いてきますから(笑)。もっとオッサンになった時に、それはそれでカッコつけさせても、カッコつけられなくても面白いですから。
井上:自分でも思いますよ。70歳とかになったら、どうなってるんでしょうね(笑)。それでなくても、今は時代の転換期にぶち当たってきましたね。数年前までは舞台とテレビを頑張っていたら、なんとか、この先も飯が食えるイメージがありましたけど、今はその価値観もガラッと変わりました。
ジジイになってYouTubeに出ていってるかもしれないし、先行き不安だけど、その分、面白い。ただ、今回9月からやる全国ツアーもまさにそうですけど、お金を払ってまで僕らを見るために足を運んでくださる方がどれくらいいるのか。ここは、何をするにも大切な物差しだとも思いますし、そこには真摯に向き合いたいと思っています。
石田:今も、こうやってナチュラルにカッコつけにかかっていますけど(笑)、オッチャンになればなるほど、こういう可愛げも増すのかなとも思いますしね。なんとか、その味をもっと出せるよう、僕もアレコレ調理法を考えていきたいと思います。
(中西正男)
■NON STYLE(ノンスタイル)
1980年2月20日生まれの石田明と80年3月1日生まれの井上裕介が2000年にコンビ結成。ともに大阪府出身。オーディションを経て吉本興業に入り、NSC大阪校22期と同期扱い。上方漫才大賞優秀新人賞など受賞多数。「M-1グランプリ2008」で優勝する。今年5月、初のファンクラブ「いまさらファンクラブ」を開設。全国ツアー「NON STYLE LIVE 2020・2021~あっという間~」を開催。福岡公演(9月14日、福岡市民会館)、名古屋公演(10月1日、日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)、札幌公演(10月21日、カナモトホール)、東京公演(11月19日、TOKYO DOME CITY HALL)が行われ、大阪公演は後日詳細が発表される。