※写真はイメージです
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 夏もいよいよ本番。強い日差しに汗がにじむ季節がやってきました。そうなると気になるのが、においの問題。電車やエレベーターなどの密室空間で脇のにおいが気になって腕が上げられなくなったり、帽子の中のにおいが気になって脱げなかったり……。そんなお悩みはありませんか? 意外と気がつかない自分のにおいや、生活習慣が原因となって発生するにおいなど、知っておきたい「女性のにおい」対策について、内科医の桐村里紗先生にお聞きしました。前編・後編の2回に分けてお届けします。(セルフドクターWebより転載)

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■夏本番、気になるにおいはどう対処する?

 汗やにおいは、男性の悩みというイメージがありますが、女性の多くも気になっているはず。加齢と共に発生する脂っぽいにおいの「年齢臭」も、人ごとではないのです。

「においは体内での代謝から発生するものなので、無臭の人なんていません。においは1つの個性。一切のにおいを排除するのではなく、気になる部分をケアする姿勢が大切です」と、桐村先生。

 においには、本来の体質から発生する生理的な体臭と生活習慣から発生するものがあります。例えば生活習慣に大きく関わるのが食生活です。食物繊維が不足して便秘気味だったり、アルコールを毎日たくさん飲む習慣があったりすると、においが発生しやすい状態に。また、普段から汗をかく習慣がないと、においを伴うベタベタとした汗をかいてしまうこともあります。

 不快な体臭は、病気などの前触れの可能性も。桐村先生はこう話します。

「家族とにおいについて伝え合う習慣をつくるのがおすすめです。身近な人と『お互いの健康を守るため』という認識を前提にルール作りをしましょう。ただし、においはデリケートな話。傷つかない伝え方などを互いに確認しながら、堂々と伝え合うことが大切です」

 生活習慣を振り返り、身近な人とにおいの話をすることは、においケアの第一歩となるのです。

<こんな生活が、気になるにおいの原因に>

アルコール大好き! 飲み過ぎもしばしば
腸内で発生したにおい分子は肝臓で無臭化されますが、お酒を飲み過ぎると肝臓機能が低下気味に。血液中にあふれた「生ゴミのようなにおい」や「アンモニア臭」などのにおい分子が体内を巡り、皮膚や口からもれ出します。

糖質制限ダイエット中! 肉食中心の食生活
ご飯を減らす代わりに肉類などのタンパク質をしっかり摂ることは重要ですが、肉食によって腸内環境が悪化すると、においが発生しやすくなります。野菜や海藻類の食物繊維もしっかり摂り、腸内環境の正常化を意識しましょう。

運動習慣がなくほとんど汗をかかない
発汗の習慣がないと汗腺の機能が弱り、においの原因物質を含むベタベタした汗をかきやすくなります。運動や入浴で発汗を習慣化して汗腺を鍛え、においが少ないサラサラ汗がかける体質を目指しましょう。

においの話はタブーにしている
においの話は避ける、という方も要注意。自分のにおいは慣れてしまい気づきにくいものです。家族やパートナーと「においが変わったら伝え合う」などルールをつくることで、お互いの体調変化に対しての意識が生まれます。

■女性のにおいは、加齢と共に変化していく

 思春期には汗や皮脂の分泌量が増え、汗が乾いたようなツンとするにおいが強くなってきます。10~20代ではアプリコットのような甘いにおいが漂いますが、加齢に伴い女性ホルモンが減退すると、皮脂が酸化して年齢臭へ変化することがあります。高齢期になると、においにも円熟味が増し、古本のようなひなびたにおいに変化していきます。この「ひなびたにおい」は決して不快なにおいではありません。また、高齢期には、肝機能低下や腸内環境の悪化からアンモニア臭が起こりやすくなります。このように、加齢と共に変化していくのがにおい。この他にも、においに関する疑問を教えていただきました。

<においの疑問(1)ストレスもにおいの元?>
ストレスを感じると副腎皮質ホルモンが分泌され、活性酸素が発生することで皮脂が酸化。過酸化脂質がつくられることで脂っぽいにおいが発生します。年代を問わず、ストレスで発生するにおいもあるのです。

<においの疑問(2)においで健康状態が分かる?>
体臭が強い場合は肝機能が低下している恐れがあります。特に、血糖コントロールの悪化によって出るケトン臭という甘酸っぱいにおいがする場合は、糖尿病の可能性もあるので要注意!

<においの疑問(3)自分のにおいは分からない?>
自宅や自分のにおいなど、身近なにおいは「順化」して感じにくくなるもの。それは異なる危険なにおいをキャッチしやすくするためのメカニズム。においの変化に自ら気づいた時は、体調や生活習慣を見直してみましょう。

 後編では、様々なにおいへの具体的な対策をご紹介。併せてお読みください。

<監修者>
監修/桐村里紗先生
愛媛大学医学部医学科卒業。tenrai 株式会社代表取締役医師。治療よりも予防を重視し、「ホンマでっか!?TV」やWebメディアにてヘルスケア情報を発信。新著『腸と森の「土」を育てる~微生物が健康にする人と自然』(光文社)8月18日発売。