7月13日時点で、日本の接種数は100人あたり45.3回(米国は99.7回、英国は118.3回)で、OECD38カ国中の下から6番目。南米やアジアの平均を下回っており、途上国レベルである(Our World in Dataから)。
しかも、東京オリンピック・パラリンピック開幕まであと1週間だというのに、接種回数は失速しつつある。
先月24日には菅首相が掲げた「1日100万回」の目標達成が発表されたものの、7月に入ってからは1日当たり接種回数が100万回に届かない日が多数。このところは加速度的な減少傾向となっている(内閣官房のデータから)。
大きな原因は供給不足だ。政府は6月23日、自治体向けファイザー製ワクチンおよび大規模集団・職域接種向けモデルナ製ワクチンの供給不足と受け付け停止を明らかにした。その直前21日に職域接種も始まり、わが国でもいよいよ接種加速かと思われた矢先、水を差された格好だ。
多くの自治体が供給への不安を抱え、職域接種は見通しが立たないまま断念するところも出てきた。そうかと思えば、予定通り接種を受けられる人たちもいる。両者の明暗を分けたのは、各自治体あるいは企業の初動の早さと見込みの差だ。
ナビタスクリニックの医師やスタッフは、集団接種や職域接種のお手伝いをしている。その中で私自身、組織によって接種体制に大きな格差があることを目の当たりにしてきた。
集団接種は、自治体ごとのばらつきが見過ごせないほどに大きい印象だ。無理もない。自治体の組織は基本的に、降って湧いたような大規模プロジェクトを短期に組み立てて遂行するようにはできていないからだ。ノウハウも人材も足りない中、手探りから始めたのではどうしても限界がある。
それでも、運営や現場レベルでリーダーシップを執る人物を獲得できた自治体では、すでに未成年者への接種が進んでいるところもある。
職域接種では、企業の組織力が顕著に表れた。率直に言えば、トップから末端までの伝達系統がしっかりしている組織は、意思決定が早く、動きも迅速だ。そこがしっかりしている企業での職域接種は、運営や進行も非常にスムーズだった。
要するに、どこに住んでいるか、どの会社に勤めているかで、ワクチン接種へのアクセスのしやすさが決まってしまうのが、日本のコロナワクチン行政なのだ。