供給量に不安は残るが、64歳以下のコロナワクチン接種が本格化している(GettyImages)
供給量に不安は残るが、64歳以下のコロナワクチン接種が本格化している(GettyImages)
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 供給量に不安が残るものの、自治体や職場などで64歳以下のコロナワクチン接種が進んでいる。ワクチン接種を予定している、あるいは検討している人も多いだろう。そこで気になるのは「副反応」である。今回はファイザー、モデルナそれぞれの副反応の特徴や、現状の日本における接種状況の課題、知っておくべき世界の状況について解説する。(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)

■接種後の心筋炎、今後は増える!?発症は20歳前後の男性が最頻

 海外でも報告されていた新型コロナワクチン接種後の「心筋炎」や「心膜炎」(心臓の筋肉や膜に炎症が起きるもの)について、厚労省が国内での発生状況を公表した。

 報道によれば、6月27日までの接種で、ファイザー製では約2624万人中19人(100万接種あたり0.72人)に、モデルナ製では約94万人中1人(100万接種あたり1.06人)に、心筋炎・心膜炎の症状が報告されている。うち40歳未満の男性が7人という。

 心筋炎といえば、今年3月には俳優の志尊淳さんが発症し、3週間休業したことも話題となった。仕事や学業、そして家族のためにも接種を受けたいと思っていた働き盛りの若い男性にとって、気がかりなポイントだろう。

 米国疾病対策センター(CDC) の最新の報告では、接種後の心筋炎・心膜炎は、ファイザーとモデルナおしなべて100万接種あたり12.6人に発生。いずれも10代後半~20代(最頻は20歳前後)の男性、2回目接種から2日前後(~4日)に多く見られ、男性が女性の8倍以上となっている。

 データからも分かるように国内での発生率は、現時点では米国より大幅に低くなっている。ただ今後、若者への接種が進めば、発生率は米国に近づく可能性がある。国内でこれまでに2回接種が完了しているのは、64歳以下の合計でわずか66.4万人(内閣官房、7月7日時点)。接種後に心筋炎・心膜炎を発症しやすい10~20代にいたっては、微々たるものだからだ。

 それでも、ワクチン接種を受けるメリットを脅かすことにはならないだろう。米国CDCによれば、6月11日までに心筋炎や心膜炎の症状が確認された患者323人のうち、309人が入院後すでに退院しており、9人が入院中、14人は入院もしていなかった。

 国内で接種後に胸の痛みや呼吸困難、脈拍の乱れを感じた場合は、すぐに受診していただきたい。接種後に発症した場合にも、迅速に適切な治療を受けられれば、大事には至らずに済むはずだ。

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接種後に起こる副反応 ファイザーとモデルナで差はあるのか?