今年の大学入試では、コロナ感染者の多い首都圏での入試を回避したい受験生や、対面授業の保証がない中での生活費負担を懸念した受験生が、首都圏の私立大学を避け地元大学に流れるケースが顕著となった。河合塾「2021年度主要私立大志願状況」によると、この傾向はMARCHクラスに目立ち、青山学院大学では、前年比で30%以上も受験者を減らしている。
大学に入りやすくなったのなら、人気集中で偏差値が高どまりする付属校を目指さなくてもいい。中高は進学校にして6年後の選択肢を広げておき、大学進学時に改めて目標を考える保護者が増える可能性は高い。
「東京の私大受験者数の急速な回復はしばらくないと予想されます。来年は、付属校人気はいったん落ち着きを取り戻すでしょう。大学入試改革が安定してくる数年後には、“付属校離れ”などということも十分考えられます」(矢野さん、以下同)
■好きなことに打ち込む
とはいえ、付属校ならではの魅力があるのも間違いない。
受験対策の必要がないのでカリキュラムがゆったりと組まれ、勉強に追われることなく部活や課外活動など好きなことに打ち込むことができる。学校によっては、系列大学と連携した特別講座が実施されるところもある。大学進学前に専門的な講義を受けられれば、学部選択や将来のキャリアプランを考えるきっかけになるだろう。OB・OGネットワークが強い学校なら、公私にわたり人脈を生かすことができ、大きなメリットになる。
好きなことを掘り下げたいタイプには、時間的余裕のある付属校が向き、競争心が強く、進度の速い授業が苦にならないなら進学校向きといえそうだ。(ライター・深津チヅ子)
※AERA 2021年7月12日号より抜粋