写真はイメージ(c)GettyImages
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「接待ゴルフ」などの印象から、中高年に好まれるスポーツというイメージもあるゴルフ。だが近年、若い世代のあいだで人気が高まっているという。若年層を取り込むゴルフ場の戦略を、マーケティング・コンサルタントが読み解く。

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「ゴルフを始めて2年目ですが、グリーンにはまだ行ったことがないんです。月に1回、近所の打ちっぱなしで練習したり、シミュレーションゴルフに行って『ゴルフ女子会』をしたりしています」

 都内に住む会社員女性(27歳)はこう話す。女性がゴルフを始めたきっかけは「しぶこフィーバー」。2019年8月「AIG全英女子オープン」で、渋野日向子プロが日本人選手として42年ぶりに海外メジャー優勝を果たした。「スマイル・シンデレラ」といわれる渋野プロに、女性は「同年代で身近な存在で親近感を覚えた」と言う。

 総務省の『家計調査』によると、29歳以下(2人世帯以上)が支出しているゴルフプレー料金は、2018年は1世帯あたり平均わずか107円(100世帯あたりの購入頻度は2回)だったが、20年には1262円(同26回)にまで増加している。ほかの年代と比べると数字そのものは大きくないが、その伸びは顕著だ(表参照)。都内でも若い男性、女性が練習用のクラブケースを抱える姿をよく見かけるようになった。大手のゴルフ場ではコロナ以後、若年層の利用客が増えているという。

■レジャーや軽スポーツとしてのゴルフ

 若い世代がゴルフに目を向けるようになったのには、いくつかの背景がある。

 ひとつは、前出の女性がゴルフを始めたきっかけになったように、渋野選手をはじめとした若手スター選手の影響が指摘できるだろう。19年の渋野選手の活躍に続き、21年4月12日(日本時間)には、松山英樹選手が『マスターズゴルフ2021』で日本の男子選手で史上初めて、ゴルフ4大メジャー大会の一つを制覇した。

 そして、6月7日、さらなるビッグニュースが飛び込んできた。『全米女子オープン』で笹生優花選手が、畑岡奈紗選手とのプレーオフの末、メジャー初優勝を果たした。日本女子選手としては三人目、19歳での大会制覇は史上最年少の快挙だ。日本選手同士によるメジャー大会のプレーオフの筋書きなど、いったい誰が予想できただろうか。若手プレイヤーの活躍にメディアも反応し、特集番組が放送されるなど、視聴者を引きつけている。今後、世界を席巻して優勝するプレーが期待され、ゴルフ人気にも影響してくるかもしれない。

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