本坊元児さん(写真提供=吉本興業)
本坊元児さん(写真提供=吉本興業)

 いかにもエエ話みたいなトーンでしゃべってますけど、これが正解かどうかは分かりません(笑)。ただ、そこは東京の時と明らかに変わりました。

 それと、今の時代、ネット記事へのコメントとかSNSの書き込みを見ても、自分と違うスタンスの人を激しく攻撃したり、つぶそうとしたり、そんなのばっかりじゃないですか。

 本当にね、みんな、農業やったらいいのにと思いますよ(笑)。みんな、そろいもそろって傲慢だぞと。じゃがいもの植え方に正解がないように「いろいろあるもんな」という考え方が求められているとすごく思います。

 農業にいろいろと教えられましたし、これから新型コロナ禍が落ち着いたら、山形に来てもらっての農業体験とか、そういう試みをやっていきたいなとは思っています。

 ただね、これも農業の考え方が染みついたのか、今後の見据え方も変わってきまして……。今年植えたものの反省を来年に生かす。そうやって1年スパンでしか物事を考えられなくなってきて、いつの間にか2年後のことを考えられない脳になりました(笑)。

 いや、もっと長期的に考えてらっしゃる農家さんがたくさんいらっしゃるとは思いますけど、僕はその脳になってきて、それはそれで芸人としてビジョンを立てるには困ったもんだなと(笑)。

 ただ、死んだ時に「この肩書を見出しにつけてもらえるなんて、ありがたいばかりやな」と思える自分になれるよう、なんとか、あがいていきたいと思います。(取材・文=中西正男)

■本坊元児(ほんぼう・がんじ)
1978年8月7日生まれ。松山市出身。2001年、NSC大阪校20期の同期、水口靖一郎とお笑いコンビ「ソラシド」を結成。他の同期は「麒麟」ら。大阪・baseよしもとを拠点に活動し、10年に東京に拠点を移す。過酷な肉体労働の日々をつづり、「どうせ、明日も、今日なんだろう?」などの名言を生んだ初の著書「プロレタリア芸人」を15年に発売し、独特の筆致で話題となる。18年から“住みます芸人”として山形県に移住し、自給自足の農業生活が注目され、日本テレビ「人生が変わる1分間の深イイ話」で度々特集され“リアルあつ森芸人”として話題になる。先月から「プロレタリア芸人」が文庫本としても発売中。

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