一方、皮の方を下にすると、いったん、芽は下に出てからグーッと土の上を目指すので大変なんですけど出てくる芽は強いものが残っている。
これはね、どちらがいいということではなく、どちらも一長一短があるだけなんです。どちらの選択肢をとっても決して間違いではない。この感覚がすごく面白くて。
この感覚が体に入ってきて、芸人としての考え方にも影響が出てきたように感じています。ひと言でいうと、寛容になったと思います。芸人にもいろいろなタイプがあるし、やり方があるし、考え方があります。
人をイジって笑いを取ることひとつ取っても「芸人同士でのイジリはアリだけど、一般の人へのイジリはナシ」と考える芸人もいますし「結果、面白かったら全てが正解」と考える芸人もいます。
そういう差異に対して、すごく柔らかくなったというか、それぞれに考え方もある話やから、そこはそれぞれを尊重したらいい。素直にそう考えるようになったんです。
また、これが相方との関係性にも影響している気がします。
ヘタに芸歴だけは重ねているので、こちらのスタッフさんもありがたいことに気を使っていただいて、山形でいろいろなお仕事をくださるんです。
ただ、芸歴は長いけど、僕らはテレビのMCはもちろん、コーナー企画もやったことはないし、ラジオも経験がない。だからできないことだらけですし、その中で相方とぶつかることが増えました。
相方はタイプ的に「できている」と自分にハッパをかけてからやる人間なんですけど、経験がないので、実質はできていない。そんなところを僕がイチイチ指摘することが続いて思いっきりブチギレられたこともありました。
そんな状況だったんですけど、これも農業の影響なのか、徐々に「コンビとはいえ、相手の考えをこちらの色に染めるなんてのは傲慢(ごうまん)の極みだ」と思うようになったんです。
なので、冷たく聞こえるかもしれませんけど、相方ではあるんですけど、違うコンビの芸人さんやと思うようにしようと。それくらいの距離感、踏み込まない感を持って付き合って、それでちょうどいいくらいじゃないか。違うコンビの芸人さんが間違えたとしても、正直、そこまで腹は立たないですから。