ワクチンを注射するときの様子(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)
ワクチンを注射するときの様子(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)

 AERAdot.が入手した資料によると、8日10時時点の14日から20日(7日間)の予約件数は、7万件の予約枠に対し、1万1866件だった。さらに、21日から27日の予約件数は3864件にとどまっていた。

 9日17時時点ではそれぞれ1万8129件、4850件まで増えたが、このペースで行くと大量に予約枠が余り、ガラガラになる。自治体でもワクチン接種が進み始めており、居住自治体で接種を済ませる人も多くなってきている背景もある。ある防衛省関係者はこう語る。

「はるばる大手町まで電車を乗り継いで行くのは高齢者からすれば、体力や気力が必要ですよ。それからネットからしか予約が取れないというのも大変です。そのようなことができる高齢者が接種を済ませた結果、予約が全然入らなくなったんでしょうね」

 予約が埋まらないとなると、運営体制も変更を余儀なくされると見られる。医師や看護師などの接種隊は約290名。1日1万人の接種を想定した体制だ。予約枠が大量に余ってしまったら、どうするのか。河野接種隊長を直撃した。

「まだはっきりとわかっていないので、予約の状況に応じて調整していくことになる」。

 政府内では64歳以下に対象を広げたり、接種券なしでもワクチン接種を行う案も浮上していると言われている。先の防衛省関係者はこう語る。

「自衛隊員や民間で雇用された派遣の看護師がもったいないですよね。やはり各地方に自衛官を派遣するのが良かったんだと思います。正直、菅首相がいい格好をしようとした独りよがりな政策だったのではないでしょうか」

河野修一接種隊長(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)
河野修一接種隊長(撮影/吉崎洋夫 JMPA代表取材)

 大規模接種センターでワクチン接種に一生懸命取り組んでいる自衛隊たち。その努力が無駄にならないことを願いたい。
(AERAdot.編集部 吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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