■暗記+筋トレで効果増

 大学の講義でも「15分効果」が活用されている。明治大学法学部の堀田秀吾教授は90分の講義で、ほぼ15分に1度、学生にテーマの転換や性質の違う作業を課してリフレッシュさせている。例えば、講話→ミニテスト→グループディスカッションといった具合だ。1分前後の休憩をはさむのも効果的という。講義中は、楽器だけで演奏されたインストゥルメンタル音楽も流す。作業を切り替えるタイミングでBGMを変えると集中力が増すという。

 堀田さんが「15分」に着眼するようになったのは、専任教員になった約20年前。教壇から見ていると、20分を過ぎたあたりから、あくびをしたり、机に突っ伏したりする学生が増えるのを実感した。試しに15分で講義内容を切り替えると、机に突っ伏す学生がいなくなった。科学的裏付けを求めて調べると、符合する研究結果がいくつも見つかった。

「米国のマサチューセッツ工科大学の研究者らの2002年の研究結果によると、成人の集中力が続くのは20分程度でした。米セントルイス大学の07年の研究でも、10~15分を過ぎると聴講中の学生の集中力が減退し始める、との結果が出ています。20年の北京科技大学の研究結果でも、15~20分の作業をすると脳が疲れてパフォーマンスが落ちる、と指摘しています」(堀田さん)

 堀田さんのイチ押しの勉強法は、暗記のあとの筋トレだ。勉強後に筋トレをすると、記憶力が10%アップする実験データもあるという。堀田さんは言う。

「筋トレで血流が良くなりますから脳のパフォーマンスも上がります。心拍数が120ぐらいまで上がる運動が記憶の定着にはちょうどいい。階段昇降運動を10分ぐらい行うと最もパフォーマンスが上がると言われています」

(編集部・渡辺豪)

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