「水門があるからこの堤防まで川の水が溢れる心配はありません」
都の職員らからそんな説明を公明党の都議らと受けていた。荒川では国交省の災害対策支援船「あらかわ号」に乗船までするほどの念の入れようだ。
赤羽国交相が大名行列のように引き連れて歩いたのは、公明党の岡本三成衆院議員、高橋光男参院議員、荒川区のけいの信一都議、大松あきら都議ら公明党の議員たち。荒川区の西川太一郎区長も合流した。
隅田川沿いの公園は遠くの方に住民が2~3人いるだけでガラーンとして静かだった。赤羽国交相は公園内を歩き、同行する「公明新聞」の腕章をしたカメラマンの前で、高橋光男参院議員、けいの信一都議とニッコリと写真を撮っていた。
一行には国交省の井上智夫水管理・国土保全局長をはじめとする国交省の職員、都の職員、区の職員らも同行していた。荒川の下流の岩淵の船着場では、赤羽国交相が下船すると、国土交通省の「荒川下流河川事務所」の職員が出迎えていた。前出の国交省関係者はこう指摘する。
「赤羽大臣は『現場視察』と称してはいますが、公務中にもかかわらず、実態としては都議選とその先の衆院選の重点候補を押し上げるための選挙対策をしているのではないかと疑う声が省内で上がっています。コロナ禍なのに、大臣の大名行列の『現場視察』に職員たちを何時間も付き合わせ、巻き込むのはいかがなものかと、不満の声も上がってます」
赤羽国交相が荒川を視察した翌日の25日の公明新聞には、「赤羽国交相 岡本氏ら隅田川、荒川の堤防視察」と見出しが踊る。
赤羽国交相を含む3人の船上の写真には「大松、けいの都議同行」と目立つキャプションが入っていた。公明新聞や議員たちのツイッター、ブログなどSNSでの拡散を見越しての「視察」だったのではないか。
けいの都議も25日、ツイッターで「安全安心のスーパー堤防を赤羽国土交通大臣、岡本衆院議員と確認!」とつぶやき、赤羽国交相とのカラー写真のツーショットを掲載した公明新聞の記事をリツイートしていた。
前出の高橋参院議員の23日のブログにはけいの都議を紹介すると同時に「激戦突破には、電話やSNSも駆使して、他党の追随を許さない都議会公明党の『実現力』を語り抜く総力の押し上げが急務」などと記されていた。
そして赤羽国交相と一緒に「視察」した24日のブログには、「東京都議選 大勝利へ」という見出しで、国交相の写真や公明党の都議たちとの写真を掲載していた。