ストレートな写真とは違う、アート的なものが圧倒的に増えた
――原版のフィルムを所有していない人もいたのでは?
「そうなんです。原版がない方がけっこういらっしゃいました。あと、作家性が非常に強くて、オリジナルを1点しかつくっていなくて、『複製(再プリント)はできない』と言う方が何人かいらっしゃいましたね。いろいろなテクニックを使ってプリントしているので、たとえ原版が残っていたとしても、もうおそらく本人にもつくれないでしょう」
山口さんは膨大な作品を繰り返し見てきたなかで、この30年の間にストレートな写真とは違う、アート的なものが圧倒的に増えてきたという。
「でも、よく作品をご覧いただくとわかると思うんですけれど、やっぱり記録性なんですね、主たるものは」
まったく同感である。ちなみに、展覧会に合わせて、同名の写真集も発売した。
「今回、年表(編:鳥原学氏)を非常に大事にしましてね。これまでのものよりはるかにページ数も多い。写真の年表としては、これ以上詳しいものはたぶん出てこないだろう、というところまで書き上げてもらいました」
さっそく、インタビューの後、ミュージアムショップに立ち寄り、購入する。この内容で定価3300円はとてもお買い得だ。
【MEMO】
日本写真家協会創立70周年記念「日本の現代写真 1985-2015」展
東京都写真美術館 3月20日~4月25日