ふだんとは違う生活で家族仲が悪くなっている人たちもいるようだが、なかにはせっかく家にいられる機会なのだからと、前向きに考えている人も多い。興味はあったのだけれど、時間がなくてできなかったことをやってみようと、ケーキを作ったり、燻製をしてみたりと、料理に挑戦している人々もいた。休校中の高校生男子が共働きの両親のために、自分が料理担当になって、晩御飯を作ると決めたとか、子供たちが手分けして、野菜を切ったり、料理の下準備をしておくとか、みんなで協力したりと、うれしくなる話もいろいろと聞いた。

 子供たちにとっては、これまで親まかせだった食事作りや家事に、少しでも関わるのはとてもいい経験だろう。それが一時期だけのことであってもだ。それぞれの家庭の事情もあるだろうが、ただすべてを店で買ってそれを消費するだけでは、家族の間で何も生まれない。何があるかわからない今の世の中では、自分で何を作れるのかが、大きなポイントになってくるのだ。

 いつまでこのような状態が続くかわからないし、都市封鎖になる可能性もあるだろう。そんなときにどうしようかなあと考えて、私が選択したのは乾物だった。ふだんから家に置いているが、それらを多めに買っておけば、電気やガス、水道は幸いにも使えるのだから、調理をするには問題がない。米も乾物だけれど、カップ麺も一種の乾物なのかもしれないと思いながら、うちの台所の棚や引き出しにある食材を思い出してみると、冷蔵庫のなかには、野菜、魚、鶏肉などの生鮮食料品、味噌が入っている。冷凍庫には、だし用の煮干しと昆布、えのき、しめじ、まいたけなどをほぐして、ひとつの袋に入れたもの、細切りの油揚げなど。私は若い頃から、最低限、水、米、味噌さえあれば、生き延びられると思っているので、基本としてこれだけは絶対に欠かさない。水は七年間保存できる保存水を、随時二箱常備している。一箱500ミリリットル入りのボトルが二十四本入り。家族がいる人は2リットル入りのほうがいいかもしれないが、冷蔵庫が使えなくなった場合、ひとり暮らしだとこちらのほうが使い勝手がよさそうな気がしたからだ。ローリングストック方式で、賞味期限が切れる前に使って、そのつど補充している。

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