設立は昭和初期の1933年、“現存する最古の公立美術館建築”として知られる京都市美術館。建築家・青木淳(現館長)と西澤徹夫が、洋風建築に和風の屋根が載る「帝冠様式」の外観や、大理石の床、モザイクタイルの壁面など同館のシンボル的な意匠をそのままに、機能的なアート空間へと生まれ変わらせた。

地元企業の京セラがネーミングライツにより再整備の財源を支援し、美術館の通称を「京都市京セラ美術館」として今年5月にリニューアルオープンしている。
かつて本館の中央にあった大陳列室は、地下1階につくられたエントランスロビーから続く中央ホールとなった。文字どおり、このホールが館内の動線の中心となり、ここから展示スペースへと進む。
本館北回廊では、10月10日から開館記念展「京都の美術250年の夢 第1部~第3部 総集編─江戸から現代へ─」を開催する。前後期制で、江戸期から現在に至る京都の美術の潮流を、日本画や洋画、書、彫刻、工芸などからたどってゆく。伊藤若冲、円山応挙、竹内栖鳳、上村松園ら、京都ゆかりの画家たちの作品が展示される予定だ。
「現代アートに対応した新館・東山キューブや、高機能化された本館展示室には京都画壇の名品を中心に紹介するコレクションルーム、新進作家を紹介するザ・トライアングルなどを新設し、様々な時代・ジャンルの芸術を発信していきます」
とは、同館事業企画推進室の平野春菜さん。
コレクションルームでは10月11日まで、竹内栖鳳の重要文化財指定作品《絵になる最初》が修復後に初めて披露されている。(ライター・森田聡子)
※週刊朝日 2020年10月16日号