五番目のカットが名古屋鉄道・岐阜市内線のモ570型だ。5両が在籍し、ワンマン化改造前はビューゲル集電だった。塗装は当初ライトグリーンとクリーム。晩年はスカーレット一色に変更された。車体長12300mm、車体幅は2236mmで、台車は住友KS-40J型を履いていた。1950年帝国車輛製で岐阜市内線廃止まで稼働した。名古屋鉄道・岐阜市内線は営業距離7700m、軌間1067mm、電車線電圧600Vで、2005年4月に廃止されている。
最後のカットが土佐電鉄(現とさでん交通)の200型だ。この200型は1950年から1956年まで5次に亘って製造され、最盛時には20両が在籍した。写真の206は車体長11600mm、車体幅2195mmとやや小振りな車体だ。台車は日立SA-W2型で、1952年日立製作所の製造。当初はビューゲルを使用していたが、後年、Zパンタに換装し、車体更新も施工された。車齢60年を超した現在もバリバリの現役で活躍している。とさでん交通は営業距離25300m、軌間1067mm、電車線電圧600Vで、はりまや橋にある「ダイヤモンドクロス」は路面電車の名所として全国に知られている。
都電6000型は荒川車庫に静態の6086が保存されているが、営業線を走ることはない。とさでん交通を現役で走る200型の姿から、戦後復興に奔走した都電6000型をアフターイメージすることができる。
■撮影:1969年4月20日
◯諸河 久(もろかわ・ひさし)
1947年生まれ。東京都出身。写真家。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。著書に「都電の消えた街」(大正出版)、「モノクロームの私鉄原風景」(交通新聞社)など。2019年11月に「モノクロームの軽便鉄道」をイカロス出版から上梓した。
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