
しかし、動物園は檻やコンクリートに囲まれているので野生環境とは違う。それでもなんとか撮影してみようと考え、動物園で撮影する時は画面に人工物を入れないように心がけた。動物のいる場所によってフレーミングで画面から人工物が排除できない時は、後でもう一度戻って狙うか、別の日に改めて狙うという撮影方法で実施した。
動物園に年に何度か通っていると、季節によって動物の飼育場の草などが生い茂ったりして、まるで自然の景色のようになることもある。そんな時は野生的に狙うにはおあつらえ向きといえる。

【中級編】レンズの特性を生かして野生を演出
檻やガラスなど動物とカメラの間にある障害をいかにクリアするかを基本編では解説したが、ここでは、あえて障害物を入れてみたい。

被写体の手前にあるものを望遠レンズでボカす撮り方を前ボケ効果という。ここでは手前(飼育場の外も含む)にある植物を前ボケに狙うなど、前ボケを入れることで、その動物を陰からそっと垣間見たようなイメージになる。また、前ボケはふんわりと柔らかなイメージになる。前ボケのふんわり効果は少し明るめに露出設定するのがオススメだ。さらに、鳥の脚環のような人工物を隠すのにも前ボケが有効となる。

飼育されている鳥などで識別用に付けられている脚環が見えると動物園感が出てしまう。そこで、飼育場の周りに植えてある生垣を前ボケに脚の部分を隠すように重ねてみた。前ボケは透けるので完全に脚環を隠せなくても目立たなくなった■キヤノンEOS-1D X Mark II・EF100~400ミリ F4.5~5.6L IS II USM・シャッター速度優先AE・640分の1秒(絞りf5.6)・ISOオート(500)(撮影/井村淳)
動物撮影は望遠レンズで狙うというイメージが強いかもしれないが、広角レンズも大いに役に立つ。広角レンズでは檻を消すのはむずかしいが、ガラスやアクリル板越しならば、すぐ近くで動物を狙うことができるので、動物たちの息づかいが感じられる迫力を狙うこともできる。
写真・文=井村淳
※『アサヒカメラ』2019年12月号より抜粋。本誌では「中級編2」や「上級編」「プロ編」なども掲載。より上級テクニックを紹介している。