パンタナールでは、乾期になると水場の水位が下がるため、魚は水のある場所へどんどん移動していく。その結果、狭い水場に魚が集まることになり、ワニや鳥にとっては「入れ食い状態」になる。
この一枚を撮ったのはちょうど夜明け前。水場には魚が豊富にいたようで、ワニも鳥たちも無我夢中になって魚にむさぼりついていた。動物たちは今食べなくては!という「旬」を自然に察知するのだろう。
しかし、こんな供宴も長くは続かない。日が昇って30分もすると、みんなこの場から消え去ってしまった。翌日も同じ時間、同じ場所へ行ってみたが、動物たちの姿はほとんど見られなかった。もう魚が食べ尽くされてしまったのだろう。
写真・文=岩合光昭
※『アサヒカメラ』2019年11月号より